長い尾をひいて夜空にかかる彗星は、庭を掃くほうきのようにも見えることからほうき星とも呼ばれています。明るい彗星には、頭部の中心に核(かく)と呼ばれる強く輝く部分があり、星雲状に見えるコマ(髪の毛の意味)が核をとりまいています。そしてコマの外側の部分が伸びて尾となっています。
彗星は太陽系の一員で、その本体は氷にチリがまじった「汚れた雪だるま」のようなものです。太陽から遠く離れているときには淡くぼんやりとした斑点のように見えますが、太陽に近づくにつれて尾をひきはじめます。尾が太陽と反対側に伸びるのは、太陽光の圧力や太陽から流れ出しているプラズマの流れ(太陽風)のためです。彗星の尾は本体に含まれるチリからなるダストテイルと、イオンからなるイオンテイルに分類されます。
ほとんどの彗星は放物線に近い軌道を持ち、一度太陽から遠ざかると2度と戻ってきませんが、太陽をめぐる楕円軌道を持つものは周期彗星と呼ばれ数年から数百年の間をへてくりかえし太陽に接近します。有名なハレー彗星は約76年の周期をもつ彗星です。