最近、夜8時すぎに東の空を見ると、異様に赤く目立つ星があるのに気がつくと思います。これが現在「接近」中の火星です。
さて、接近とはどういうことなのかと思う方もいらっしゃるでしょうが、まずは、少し前の記事をごらんいただきましょう、、、ようは、地球が火星を追い抜く時が「接近」なんですね。
ところで、地球が火星を追い抜く日は4月25日で、距離が一番縮まる(接近する)日は5月2日です。これはどうしたことでしょうか? カンタンにいえば「地球と火星の軌道が同心円ではない」ということが原因となります。同心円なら、追越=接近となりますが、そうでないと下図のように追越と接近がずれるのです。実際、火星や地球の軌道は楕円形であることが知られていて、特に火星はひしゃげ方が大きいのです。
なお、図を見ていて、追越=接近になる場合もあるなぁと思った方もいらっしゃるでしょう。実はその時は、接近の度合いが最小か最大になるのです。なぜかは考えてみてください。今回はその中間です。一番ずれかたが大きいケースなのです。
ついでに火星の接近前後の距離をグラフにしてみました(横軸が日時。縦軸が地球との距離(億km)です)。このグラフは計算値から作ったものですが、例えば火星の明るさや視直径からも似たようなグラフを描くことができるはずです。そうすれば、観察を続けるだけで火星の軌道が一筋縄ではいかないというこどはわかります。実際、いまから400年前にケプラーは、師匠のティコの肉眼による位置の観察によって上記のようなことをちゃんと発見しています。望遠鏡も宇宙船もなくてもわかることはあるのです。
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