「軌道天文台」の動き XMM・ハッブル・火星探査機 |
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ここのところ、地球の外、つまり宇宙空間から宇宙をさぐる「軌道天文台」についてのニュースが次々と入ってきています。そのうちXMM、ハッブル宇宙望遠鏡、火星探査機マーズポーラーランダーについてご紹介しましょう。
1999年12月10日金曜日にヨーロッパ宇宙機構(ESA)がアリアン5ロケットで打ち上げた、X線天文台衛星です。XMMとはX-Ray Multi Mirror の頭文字で、複数の反射望遠鏡を装備したX線天文台という意味になります。 ヨーロッパはこれまで大型のX線天文台をもっていませんでしたが、XMMは、3.8トンとトラックほどの超大型の衛星です。157もの反射鏡をロールキャベツのようにまとめて、光をあつめ、3機のスペクトル撮像装置でX線発光天体の詳しい素性を調べます。 なお、XMMのホームページはこちらです。 ハッブル宇宙望遠鏡は、1990年の打ち上げ以来、光学望遠鏡としては最高の性能を発揮しつづけていましたが、ついに機能を停止してしまいました。1999年12月16日には、スペースシャトルが打ち上げられ、各部の修理および古くなった機器の交換を行い、「復活させる」予定となっています。 ハッブル宇宙望遠鏡は、実は常に満身創痍の状態でした。特に問題となっていたのは、宇宙空間で姿勢を制御するためのジャイロ装置で、予備も含め6機を積んでいるのですが、すべてが満足に動くということはなく、常に数機が故障をしていました。そして、とうとうすべてが故障し、姿勢制御が不可能になってしまったのです。 これを修理するため、アメリカ航空宇宙局NASAは、スペースシャトル飛行STS-103計画において、ハッブル宇宙望遠鏡の修理を行います。ここでは同時に地球観測衛星TERRAの打ち上げも行われます。はたしてハッブル宇宙望遠鏡は「復活」できるでしょうか? なお、NASAから出ているプレスキットはこちら です 1999年1月3日に打ち上げられた火星探査機、マーズ・ポーラー・ランダーは、12月4日に火星に着陸する予定でした。そして、直前までコントロールがうまくいったものの、火星大気に突入したあと、着陸時に発信されるはずの信号が受けられず、どうも失敗したようです。 現在も、NASAこの計画には約200億円がかけられていました。1993年に同じく失敗した計画が1000億円規模だったことから、予算の縮小をし、安く数多くの計画を行うというコンセプトにしたがったものです。今回は、それがアダとなり、失敗したときにも情報を得られるようにしたモニター機器を省略したため、失敗の原因がつきとめられない状態だそうです。 NASAでは、「まだ、失敗が確定したわけではないが、今後も安い探査機を多数上げ、その中での失敗でのリスクを最小にする」という方針だそうです。次の火星探査機は、2001年に2機が打ち上げられます。次回は、さて成功するでしょうか。NASAの技術者の中には、もう少しお金と時間をかけ、確実性をあげるべきだという意見も強くなっているそうです。 X線は、レントゲン撮影に使うことで知られた電磁波の一種です。太陽をはじめ、様々な天体からX線が放射されています。極めて温度が高い部分から放射されることから、激しい活動や現象をおこす天体、たとえばブラックホールの周囲での現象を調べるのに有効です。ただ、地上にはX線は届きませんので、気球やロケット、人工衛星で観測しなければなりません。現在、活動しているX線天文台は、アメリカのチャンドラ、日本のあすか、また太陽X線をとらえるものとして、アメリカのSOHO、日本のようこうなどがあります。ちなみに、日本はX線天文学では世界トップレベルです。 |