平行にならない太陽光線

読売新聞の読者の質問に、科学館の学芸員が答えた内容を紹介します。

質問:
太陽光線は平行光線と習いましたが、雲のきれ間からもれる光は放射状に広がって見えます。何故でしょうか?

回答:
 太陽は地球から1億5000万キロメートルも離れていますから、おっしゃるように、太陽から地球にふりそそぐ光は平行光線と考えて間違いありません。

 ただし、平行にやってくる光をどこでながめるかが問題です。こんな例で考えてみましょう。鉄道のまっすぐな線路(もちろんレールは平行です)があったとして、その線路に立ってずっと先の方をながめると、平行なレールがはるか遠くでは1点にひっつくように見えるはずです。逆にいうと、レールは自分に向かって放射状に広がってくるように見えることになります。

 この遠くの1点が太陽、(平行な)レールが光だと思えばいいわけです。自分に向かって飛んでくる平行光は光の発生源を中心とする放射状に見えます。したがって地球上で太陽を見た場合には、太陽を中心に放射状に光が出ているように見えるのです。このことはよく晴れていると分かりませんが、太陽が雲におおわれてそのすきまから日がさす場合は、質問でおっしゃる通り太陽を中心に放射状に出ている光を観察することができます。

 これの応用としては、放射状の光をたどって集まる点が太陽ということですから、曇っていても太陽の位置を知ることができる場合もあります。

 質問とは直接関係ありませんが、流れ星がたくさん見える流星群という現象があります。空のある点から放射状にたくさんの流れ星が見えるのですが、これも太陽系内をそろって軌道運動している流星のもとがそれぞれほぼ平行に地球の大気にぶつかってくるものが、地上からは放射状に流れて見えるものです。(8月12日・13日にはペルセウス座流星群、11月17日にはしし座流星群の活動が予報されています。)

 

 

 


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