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太陽の100倍も重い星(エータ・カリーナ)の異常事態

りゅうこつ座という星座をご存じでしょうか? 竜骨というのは船の背骨にあたる構造材のことです。ですから、りゅうこつ座は船の一部分の星座です。春の星座のしし座のずーっと南で、みなみじゅうじ座の西にあり(星図・アストロアーツ社ステラナビゲータ2にて描画)、日本からは一部分しか見えません。このりゅうこつ座の東のはずれ、みなみじゅうじ座にほど近い天の川のなかに、りゅうこつ座エータ星(エータ・カリーナ)はあります。
ハッブル宇宙望遠鏡が1996年に撮影したエータ・カリーナこのエータ・カリーナは、18世紀にはまばゆいばかりに輝いていて、現在の火星ほどの明るさになっていたこともあるのですが、現在では非常に空の暗いところでも、目で見えるかどうかの6等級になっていました。これは、太陽の100倍もの質量のあるこの星が、周りにガスを吹き散らし、そのガスの中に隠れてしまったからです。その様子はハッブル宇宙望遠鏡で詳しく観測されています(図)
さて、このエータ・カリーナ。過去50年間、じわじわとしか明るさを変えていなかったのですが、ミネソタ大学のダビットソンや石橋らが南アフリカ天文台で観測した結果によると、最近明るさが2倍になっていました。これは、1997年の12月から1999年の2月にかけて近赤外線で観測したデータによるものです。また、1999年4月17日に、南米チリのセロ・トロロ観測所と南アフリカ天文台がそれぞれ観測したところ、明るさは可視光でも5.25等級になっています。5.7等級程度だったので、さしたる違いには感じられませんがこれは異常な現象です。太陽の明るさが1.5倍になったと考えてみてもらえばその異常さはわかるでしょう。
参考文献:IAUC(国際天文学連合サーキュラー)7146






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